オープンウィンドウ、という言葉をご存知でしょうか。
運動直後に免疫力が下がり、アスリートが感染症に罹りやすい状態のことを指します。
ご自宅でのトレーニング時間が増えている今
せっかく体力維持、健康のためにトレーニングを行っているのに
それが返ってリスクを高めることになってしまっては元も子もありません。
免疫力が一時的に下がるとされている理由と、その対策についてまとめてみました。
理由1
唾液や鼻水、乳汁などの中に存在する
SigA(分泌型免疫グロブリンA)
という物質。
病原体の粘膜めの侵入を防いだり、毒素を中和する働きがあると言われています。
人間の体の外界との境界線である、鼻や口、目などから侵入しようとする病原体を粘膜でブロックしてくれます。
この成分の分泌が、激しい運動の後に減ってしまうため、無防備になってしまうことから、激しいトレーニングの後は免疫力が下がると言われているようです。
では、どう対策をとっていけばいいのか。
まず、SigAは「激しい」トレーニング後に減ってしまうので
連続して激しいトレーニングを行いすぎないようなプランニングが必要です。
そして、ダウンした免疫力の回復は、なんと言っても休息が大事です。
十分な休息を取ることで、免疫力は回復してくれます。
そして、長期的な観点では、トレーニングを継続していくことで
歳をとっても免疫力の低下を防いでくれることにもつながります。
理由2
激しいトレーニングをすると、交感神経が高ぶって、結果免疫力を下げてしまうと言われています。
自律神経は、交換神経と副交感神経の2系統がありますが
身体の機能を自動でコントロールする役割を担っています。
そして、自律神経は免疫も調整してくれる役割があります。
免疫にも、病原体に対抗するために、大きく分けて2つの
「学習モード」と「パトロールモード」
というモードが存在します。
学習モードは、リンパ節で免疫が病原体の情報から学んで活性化してくれます。
パトロールモードは、全身の病原体に感染した細胞を攻撃してくれます。
要するに、
学習モード → 予防
パトロールモード → 対応
のようなイメージです。
そして、激しいトレーニングを行うと、交感神経が優位になり
パトロールモードにストップがかかってしまいます。
また、リンパ球の1種であB細胞と呼ばれる細胞によるlgA抗体の生産が減る、
要するに、免疫の生産が減ってしまうことにつながるということです。
まとめると、
激しいトレーニングは自律神経を刺激し
自己防衛能力が一時的に低下してしまう
ということです。
理由3
酸化ストレス
呼吸で吸った酸素の2〜3%は毒素の高い活性酸素となって酸化を起こします。
身体は、ある程度は酸化を自力で抑えてくれますが
抗酸化力を上回ると酸化ストレスとなって身体にダメージを与えます。
そして、そのダメージの1つが、免疫細胞のDNAを傷つけていて
結果、免疫力が落ちてしまうようです。
特に、有酸素運動はバランスを考えて計画を立てることが大切です。
少しきついな〜と思うくらいの強度で、2時間以内であれば
普段から運動習慣のある方でしたら2時間程で免疫力は回復してくれます。
理由4
ホルモンバランスの乱れ
運動は、身体にストレスを与えるものです。
身体はそのストレスに耐えるために
コルチゾール
というホルモンが分泌されます。
コルチゾールは血糖値や血圧を上げてストレスに強い体内環境を整えてくれます。
しかし、コルチゾールは免疫細胞の働きを抑える働きもしてしまうため
運動直後の一時的な免疫力の低下を招く原因になると考えられています。
大きく4つに分けてまとめてみましたが
大切なのは、トレーニングの計画と
しっかりと回復の時間を設けること。
今の自分には、どのくらいのトレーニングが合っているのか。
せっかくのトレーニングで、健康を害すようなもったいないことにならないように!