私が現役でゴールキーパーをプレーしていた時に
あるチームのトレーナーさんから
「トミ、筋トレやるのはいいけど、キーパーだろ? ベンチプレスだけはやめとけよ」
と指導された経験があります。
理由は、大胸筋、胸の筋肉がつきすぎてしまうと
腕の動きが制限されてしまい、ゴールキーパーとしての手を広げて守れる守備範囲が狭くなってしまうから
という理由でした。
その時は、プレーヤーとして
筋トレや身体の構造のことを何も知らなかったので
指導を受けた通りに胸周りは鍛え過ぎないように気をつけていました。
ただ、今こうしてパーソナルトレーナーとして活動している中で
果たして本当に可動域って筋肉がつくと狭まってしまうのか?
という疑問が、どうしても引っかかってしまいます。
確かに、日本のトッププレーヤーのGKを見てみても
体型的に胸の筋肉は隆々と盛り上がっているような選手はなかなか見かけないです。
ただ、私が19の時にドイツに渡って
向こうの選手たちと初めてチームメイトとして接した時の
彼らのごつい体つき
それでいて、しなやかで素早い身のこなし
圧倒的なフィジカルの差
これは、衝撃で忘れることが出来ません。
ドイツのGKの動きは、確かに少し固さがあったり
柔軟性には欠けるところがあるかもしれませんが
シュートをストップ出来る守備範囲はとても広いです。
そう考えると、筋肉が付きすぎて、動きが制限されているわけではないのではないか?
と改めて思います。
現在、3ヶ月チャレンジをさせてもらっている中で
特に大胸筋は重点的に行っています。
身体の他の部分は、これまでの選手としてのトレーニングの素地が残っているため、トレーニングである程度反応してきてくれる感覚がありますが
大胸筋だけは、本当にトレーニングしてこなかったので
正しいフォームでもうまく動かないし
おそらくベースがほとんどないので、土台作りから始めないといけないんだろうな、と思いながら取り組んでいます。
そして、現在
大好きなランニングをお休みして
筋トレに一点集中している中で、GKとして身体を動かしてみて
今の所、腕の可動域を狭く感じることはありません。
トレーニングをしていて、
また、さまざまな情報に触れる中で強く感じるのは
筋トレで、正しいフォームで行うこと
筋トレ時の動作可動域をしっかりと確保すること
この2つがポイントになるのではないかと思います。
重りの重さばかりを重視しすぎて
・スクワットなら深くしゃがみ込む
・ベンチプレスならバーが胸に付くギリギリから、ひじが伸び切る寸前
こういった動きが、動作を戻せない恐怖心などから深く踏み込んでいけないことで、トレーニング自体のトレーニング可動域が狭くなってしまう。
そして、
結果的に、動かせる領域が狭まってしまっている
ということはあるかと思います。
個人的に、GKの選手には
「ベンチプレスはやり過ぎるな」
とは伝えたいですが、
「全くやらない方がいい」
とは言い切れないと思っています。
大胸筋も、起き上がって次のプレーに移る時に腕の動きをサポートしてくれますし
相手との接触プレーの際にも、分厚くて強靭な上半身は
相手を吹き飛ばし、自分の身体の安定感を作ってくれると思います。
結論として、調べてみて
研究結果からも
適切なトレーニングを続けると可動域は広がる
不適切なトレーニングを続けると、可動域は広がる
という説が多いように思います。
そして、筋トレのメニューも
ゴムチューブやケーブルを使って行うことで
しなやかさを同時に養ったり
連動した動きのトレーニング、動的体幹などを取り入れていくことが大切です。
せっかくのトレーニングで、
身体の機能、可能性を損なってしまうことのないように!
正しいトレーニングフォーム
適切なトレーニングを行っていきましょう!